このような状況は極めて恵まれているのだが、人間には「慣れ」の感情があって瞬く間に「ありがたい」から「当たり前」へと変わることで、ありがたみを感じなくなる。「安定がほしい」といっていたのに「変わり映えしない毎日がつまらない」と自ら望んで実現した結果に不満をいい出すのだ。

このような状況を打破するには、「飢餓感」を意識的に作り出すことが必要だ。具体的な話をしよう。筆者は現在、引っ越しを予定している。子供の教育、ビジネス目的、生活レベルの向上でつまりは成長目的である。

正直、これは自分にとって経済的負担や転校を伴う子供への負担など、その他様々チャレンジングな要素で溢れており、楽に生きていくことだけを考えるなら、今のまま現在の家でずっと住む方が遥かにいい。

だが、人工的に負荷をかけていかなければ、もうこれ以上の成長が止まってしまう、という漠然とした不安から、さらに高みへ頑張る必要性を意識して獲得しようと家族で話し合って決めた。

引っ越しが確定した日から生活は一変した。必要なお金も増えるので、ますます仕事を頑張らなければいけない。子供たちへのケアもいる。これが「よし、やるぞ!」といういい刺激になったと感じている。

3.魅力的な人との出会いがないから

最後は魅力的な人との出会いである。

「経験があると初々しさがなくなり、結果が先読みできるから」 「感性が衰えて何も感じなくなる」

といった意見があるが、そのようなもっともらしい要素をすべて吹き飛ばしてしまうのが、魅力的な人との出会いである。

結局、人間にとって最大の娯楽とは名作アニメや映画、美しい風景を旅行するような「受動的な娯楽」などではない。人が最も心を動かされるのは「魅力的な人との関わり」なのだ。

筆者はビジネスの取引先と五つ星ホテルの高級レストランで豪華な食事をするより、子供たちと一緒に牧場でソフトクリームを食べる方が遥かに楽しい。一人で牧場なんて行っても何も楽しくないが、子供を連れて行くと不思議なほど心から楽しい場所になる。