Zuchongzhi 3.0という量子コンピューターの性能を調べるために使われたのは、「ランダムサーキットサンプリング」という実験方法です。
これは、量子ビット(情報を“0と1の両方”として扱える特殊な単位)に対して、ゲート(量子ビットを操作する命令)をランダムに選んで何層も繰り返し適用し、最後に得られる膨大な“0と1の並び”を分析する実験です。
ランダムに操作を選んでいるため、普通のコンピューターで結果を予測するのはとても難しく、量子コンピューターの実力を測るよい方法とされています。
今回の研究では、Zuchongzhi 3.0に搭載されている105個の量子ビットのうち、最大83個を使って実験が行われました。
しかも、それらの量子ビットへ32段階の操作を重ねることで、ものすごく複雑な回路を作り上げています。
さらに、二つの量子ビット同士で情報を入れ替える「iSWAPゲート」という操作も組み合わせることで、普通のコンピューターでは計算がほぼ不可能なレベルの複雑さに達しています。
しかし、これほど大規模な回路をそのまま古典的なコンピューターで計算(シミュレーション)するのは、現時点では非常に困難です。
そこで研究チームは、「パッチサーキット」と呼ばれる小さな部分回路も同時に動かして、そこだけを古典コンピューターで再現し、フルの回路と比較するという工夫をしました。
その結果、フル回路でもほぼ同じ精度が得られていることが確認され、Zuchongzhi 3.0が高い忠実度で動作していることがわかったのです。
実際に行われた測定では、わずか数百秒の間に約4億もの「0」と「1」の並び(ビット列)が集められました。
もしこれを世界最高クラスのスーパーコンピューター(Frontier)で行おうとすると、約64億年もかかるという試算があります。
以前GoogleのSycamoreでもランダムサーキットサンプリングの実験が大きな話題を呼びましたが、Zuchongzhi 3.0はさらに圧倒的な速度差を示し、量子コンピューターの可能性を新たに広げたといえます。