そして3Dプリンターを活用し、この驚異的な構造を人工的に再現しました。

「圧縮したら横方向に縮む」新材料を開発

RMIT大学の研究チームは、カイロウドウケツの骨格構造を基に新たな構造「bio-inspired lattice structure(BLS)」を開発しました。

この材料は、精巧な格子状のフレームを持ち、負のポアソン比を示します。

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通常の材料とオーセチック材料の比較 / Credit:Wikipedia Commons

通常の材料は、圧縮されると横方向に広がり、引っ張られると横方向に縮みます。

しかし負のポアソン比では、圧縮されると横方向に縮み、引っ張られると横方向に広がる特性があります。

このような性質を持つ材料は「オーセチック(auxetic)材料」と呼ばれ、衝撃吸収性やエネルギー分散性能に優れています。

従来のオーセチック材料は、医療用ステントや靴のクッション材、防護服などの分野で利用されてきましたが、それらは剛性が低く、大きな変形に対する耐久性に課題がありました。

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海綿動物にヒントを得たこの新構造(左)は、従来の格子構造(右)よりもはるかに強く、破損しにくい / Credit:RMIT

BLSは、このオーセチック構造の利点を活かしながらも、より高度な格子設計を採用することで、従来のオーセチック材料の13倍の剛性、10%多くのエネルギー吸収、60%大きな変形範囲を実現しました。

これにより、従来のオーセチック材料と比較して、より頑丈で衝撃に強い構造を持ちながら、しなやかに変形し続けることが可能になっています。

この新素材の応用範囲は非常に広く、建設資材や防護具、スポーツ用品、医療まで、様々な分野での活躍が期待されます。

深海の生物が生み出した驚異のデザインが、私たちの未来を変えるかもしれません。

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参考文献

Sea sponges inspire super strong material for more durable buildings
https://newatlas.com/materials/sea-sponges-inspire-strong-material-rmit/