高い栄養価と豊富な脂肪分から”森のバター”の異名で知られるアボカド。

このほど、米カリフォルニア大学サンタバーバラ校(UCSB)の研究により、人類がアボカドの栽培化に成功した時期が明らかになりました。

それによると、人類は約1万年前にはすでに野生のアボカドを管理し始め、約7500年前に栽培化に成功していたと見られています。

研究の詳細は2025年1月14日付で学術誌『PNAS』に掲載されました。

目次

  • アボカドの起源はいつ?
  • アボカドの栽培化に成功した年代を特定

アボカドの起源はいつ?

今やアボカドはサラダに混ぜたり、トーストに乗せたりして楽しむ人気の食材となっています。

しかし私たちがスーパーで見かけるアボカドは、長い年月をかけて人間が品種改良を行った結果、今の姿になったものであることをご存知でしょうか。

野生のアボカドの起源は約40万年前のメキシコにまで遡り、現在の姿よりもっと小さなものでした。

当時、アボカドの種子は巨大な動物(メガファウナ)たちによって運ばれ、広範囲に散布されていたことがわかっています。

ところが約1万2000年前にメガファウナが絶滅すると、アボカドの種を運ぶ生物がいなくなり、自然に分布を広げることが難しくなったのです。

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Credit: canva

この時期に、人類がアボカドを食用として利用し始め、自然の中で育つアボカドの木を管理するようになったのではないかと考えられています。

ただしこれまでの研究では、アボカドが本格的に栽培され始めたのは約4000年前と推測されていました。

しかし今回の研究では、これまでの予想よりもさらに3000年以上も前からアボカドの栽培化が始まっていた可能性が示唆されたのです。

では、アボカドの栽培化に成功したのはどこの国の人々だったのでしょうか?

アボカドの栽培化に成功した年代を特定

研究チームは今回、中央アメリカのホンジュラスにあるエル・ヒガンテ岩陰遺跡から発掘された1725個の化石化したアボカドを分析しました。