工事費が1.5倍に

 建設の現場において、人件費や建築資材、燃料費等の高騰はここ数年、報じられ続けているが、これほど大幅に値上がりするものなのだろうか。不動産事業のコンサルティングを手掛けるオラガ総研代表取締役の牧野知弘氏に聞いた。

――NAKANOサンプラザシティの事業費については何度も見直しされており、そのうえで2639億円とされていましたが、今回900億円以上も上振れしました。

「報道を見ると、2639億円から900億円と約30%の増額に思えますが、2639億円は『総事業費』で、今回900億円増額しているのは『工事費』です。従来の工事費は1845億円となっており、実際には約50%の増額です。2021年3月の企画提案時の資料と見比べると、2倍以上になっています。坪単価を時系列で追ってみると、企画提案時に134万円、22年12月に205万円へと見直され、今回の見直しで305万円となっています。つまり、当初計画から2.2倍になっているのです」(牧野氏)

――これほどの急激な値上がりは、異例でしょうか。それとも、ほかの現場でも同様なのでしょうか。

「各地で頻発しています。先ほど2022年12月に坪単価205万円として計画されていたと話しましたが、200万円程度では建てられないと思います。それどころか、その時点でもすでに安い金額だったと感じます。現在の計画を見る限り、坪300万円という見積もりは、おかしくはない金額です。今、建築資材が非常に高騰しており、ほとんどが輸入品ですので、円安の影響を受けています。また、人手不足で職人が集まらず、人件費が高騰しています。さらに、ウクライナ戦争やイスラエル紛争などでエネルギーコストも急激に上がっています」(同)

――今後も建築費は高止まり、もしくは上昇傾向が続くのでしょうか。

「続くでしょう。むしろ下がる要因が見当たりません」(同)