たとえば、ブラックホールの内部構造や、“外部に何も情報を伝えない謎の塊”という従来のイメージにも新たな光が当たる可能性があります。
情報理論と統計力学の立場から、「ブラックホールのエントロピーは、実は重力を生む要因そのものと深く結びついているのではないか」と考えられるからです。
さらに、この見方は宇宙膨張にも新しい解釈をもたらします。
一般相対性理論で“与えられる”ものとして扱われてきた宇宙定数が、エントロピーの流れの結果として自然に生じる可能性があるとすれば、宇宙がなぜ加速膨張しているのかを、より根源的なレベルで説明できるかもしれません。
G場という補助場が暗黒物質のように振る舞うシナリオも、その延長線上に提案されています。
ただし、これはあくまで一つの仮説であり、観測データや実験を通じてさらに検証が必要でしょう。
もちろん課題は残ります。
フェルミオン(電子など)やゲージ場(電磁気力など)を含めた場合に、エントロピー起源の重力がどのように振る舞うのか、極端な高エネルギー領域でも理論は破綻しないのかなど、理論的にも数学的にも解明すべきことは多くあります。
しかし、もしこのアプローチと観測データがうまく符合すれば、私たちの「空間とは?」「時間とは?」「重力とは?」というイメージそのものが大きく変わるかもしれません。
たとえばブラックホール周辺の現象や、初期宇宙のゆらぎを精密に観測し、そこにエントロピーの痕跡を見いだすことができれば、“重力=エントロピー”という図式が一層説得力を帯びるはずです。
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元論文
Gravity from entropy
https://doi.org/10.1103/PhysRevD.111.066001?_gl=1*1v36lxu*_ga*NDc0MDg5NTkwLjE3MjAzOTI3NTM.*_ga_ZS5V2B2DR1*MTc0MTU4OTU0Ni45MS4xLjE3NDE1ODk4OTQuMC4wLjEyOTUxOTQ5MDQ.