エントロピー的に見ると、この「ズレ」をなんとか“緩和”しようとする作用が働き、それが小さいながら正の宇宙定数という形で現れると主張されています。
エントロピーが高い、つまり乱雑さが増えて安定から外れそうな状態は、例えるなら「部屋が散らかりすぎて、どこに何があるか分からなくなりつつある状況」といえるでしょう。
時空の計量と物質の計量が大きく違えば違うほど、部屋の散らかり具合(乱雑さ)が増していくイメージで、それを“片づけ”ようとする力が重力の方程式の中で“宇宙を押し広げる”効果(正の宇宙定数)として表れるのです。
さらに大切なのは、この“部屋の散らかり具合”を測る指標が「情報的なズレ(量子相対エントロピー)」である点です。
要するに、時空と物質の“違い”が大きいほど乱雑さが増え、その乱雑さを減らそうとする過程が重力として観測されるのではないか――これが「重力はエントロピーから生じる」という主張の根本にある考え方です。
言い換えれば、重力とは単なる“空間の曲がり”ではなく、“時空と物質の情報的なギャップを埋めようとする動き”としても理解できるかもしれません。
まとめると、
1:時空計量と物質の計量の差(量子相対エントロピー)が、重力の規模や挙動を左右する。
2:極端な環境下ではその差が大きくなり、“歪み”=重力を緩和するメカニズムとして宇宙定数が生まれる。
3:この宇宙定数は「エントロピーを通じた時空の押し広げる力」とみなせる。
4:結果として「重力はエントロピーから生じる」という結論を導ける可能性がある。
となるわけです。
エントロピー重力が映し出す未来――G場の暗黒物質説と量子重力への道

今回の理論が示唆する「重力はエントロピーの結果」という考え方は、私たちが宇宙を理解するうえで、これまで当然としていた“空間の曲がり”だけの説明を超えて、空間や時間そのものを“情報”や“不可逆性”の観点で捉え直す必要があるかもしれません。