一方、シリア国営通信社SANAによると、6日以降、北西部ラタキア県などアラウィ派が多く住む地中海沿いの一帯で、旧政権残党と治安部隊の衝突が激化。激しい戦闘は、州都ラタキアの南約25キロにあるジャブラ市などで起きたという。SANAによると、ラタキアの治安部隊は病院への攻撃を撃退した。同市とさらに南の海岸沿いの町タルトゥースにも8日朝まで外出禁止令が出された。

今回の武力衝突については、「虐殺の責任は暫定政権の治安部隊にある。彼らはダマスカスの命令に従わず、虐殺を繰り返した」という情報がある一方、シリア国営テレビは「正体不明の人物が政府軍の軍服を着て内戦を扇動する目的で犯行に及んだ」と報じるなど、情報が混乱している。

国連シリア担当特使のゲイル・ペダーセン氏は「深く懸念している。緊張をさらに煽り、紛争をエスカレートさせ、シリアを不安定化し、信頼できる包括的な政治移行を危険にさらす可能性がある」と声明の中で述べ、行動を自制するようあらゆる当事者に呼び掛けた。

シャラア暫定大統領は7日、国民に向けて演説し、「打倒された前政権の残存勢力は新たに発足したシリア政権を打倒しようとした」と説明し、治安部隊の対応を賞賛し、攻撃者らに武器を捨てるよう呼び掛けた。同時に、「民間人に対する攻撃を行った者は厳しく処罰される」と発表した。また、チャタブ情報長官は「追放された元大統領の軍・治安機関の主要人物に衝突の責任がある。彼らは反逆的な作戦を開始し、数十人の軍と警察の隊員が殺害された。彼らは海外から管理されている」とオンラインプラットフォームXに書いた。

なお、ダマスカスや他の都市では数千人の国民が集まり、アサド旧政権の武装支持者を糾弾するデモを行っている。

13年に及ぶ内戦の結果、多くの大都市で多数の家屋が破壊された。国民の大多数は貧困の中で暮らしている。新しいシリアがどのような方向に発展していくか現時点ではまだ定かではない。そのような中で起きた今回の治安部隊とアサド旧政権の支持勢力との武力衝突、アラウィ派の市民虐殺は、新生シリアの誕生を願う大多数のシリア国民を憂欝にさせている。