食事中や友人との会話中に、スマートフォンの画面をついチェックしてしまうことはありませんか。
また、相手がスマホを操作しながら会話することで、「ちゃんと話を聞いてもらえていない」と感じた経験がある人も多いでしょう。
このように、スマホに気を取られる行為は「ファビング(Phubbing)」と呼ばれます。
今回、イスラエルのペレス・アカデミックセンター(Peres Academic Center)の研究チームは、ファビングが共感力を低下させ、他者を助けようとする意欲までも減少させると報告しました。
この研究の詳細は、2024年9月21日付の『Psychological Reports』誌に掲載されました。
目次
- 「人前でスマホをいじる人」が受ける影響を調査
- ファビングの習慣は共感力を低下させる
- スマホ時代に共感力を維持するには?
「人前でスマホをいじる人」が受ける影響を調査

ファビングとは、自分のモバイル端末に気を取られて、目の前の話し相手や周囲の人を無視することを指します。
この「ファビング」は2010年代前半に作られた言葉であり、スマートフォンの普及とともに世界中で問題視されるようになりました。
誰しも一度は、ファビングを経験したことがあるのではないでしょうか。
従来の研究では、ファビングをされた側の心理的影響が主に注目されていました。
例えば、会話中に相手がスマホに目を向けると、無視されたと感じる人が多く、それが孤独感や不満を生むことが指摘されてきました。
しかし、これまでファビングをする側の影響を調べた研究はなく、今回研究チームは、この点に取り組むことにしました。
研究チームはまず、220人を対象に調査研究を実施しました。
この調査では、ファビングの頻度と共感力や社会的行動の関連性を分析しました。
その結果、ファビングを頻繁に行う人ほど、共感力が低く、他者を助ける意欲が低いことが確認されました。