ただこのCMDが確認できたとしても、それをどう評価し、治療につなげるかは明確になっていませんでした。
研究チームは、今回、そんなCMDの患者に見られるスリープスピンドルという脳波に着目しました。
スリープスピンドルとは、睡眠中に脳で発生するリズミカルな脳波活動のことで、記憶の固定や神経修復に関与すると考えられています。
今回の研究では、急性脳損傷を負った患者の脳波を測定し、スリープスピンドルの有無と意識回復の兆候が関係しているのではないかという仮説を立てて調査したのです。
まず、過去10年間に蓄積された脳損傷患者のEEG(脳波測定)データを分析しました。
意識を回復した患者と回復しなかった患者のEEGパターンを比較したところ、回復した患者には、睡眠時に特定の12〜16Hzのスリープスピンドルが多く見られることが分かりました。
次に、研究チームは急性脳損傷を負った患者150名を対象に、EEGを用いた長期的な観察を実施しました。
その結果、スリープスピンドルが一定の閾値(1分間に5回以上)を超えた患者は、6カ月以内に意識を取り戻す確率が80%以上であることが確認されたのです。
いつ目覚めるか見当のつかなかった意識不明患者に対して、この研究は特定の脳波パターンから回復可能性を定量的に評価できる可能性を示したのです。
意識不明でも脳は外部刺激に反応している!?
この研究が示した最大のポイントは、外部から見ると無反応に見える患者でも、脳内では外界を認識し、反応している可能性があるという点です。
例えば、過去の研究では「患者の耳元で家族の声を聞かせた際に、脳波が変化する」といったケースも報告されています。

今回の研究では、そうした隠れた意識を発見するための新たな手法として、スリープスピンドルが有望な指標になる可能性を示しました。