この頃、多くの議会が州内での囚人製品の販売を禁止する法律を制定し、非常に限定された市場である州政府機関にのみ販売するための製品の製造を受刑者に許可する公共使用または州使用制度が採用された結果、20世紀最初の30年間、囚人労働を利用する機会は減少し続け、大恐慌の間、33の州で囚人が作った製品の一般市場での販売を禁止する法律が可決された。
例えばホーズ・クーパー法(1934年発効)は、刑務所で製造された物品をある州から別の州に輸送する場合は、目的地の州の法律に従うことを義務付けた。その結果、各州は、州外で作られたか州内で作られたかに関わらず、囚人が作った製品の販売を全て禁止した。
アシャースト・サムナーズ法(1935年)は、州法によりそのような商品の受領、所持、販売、使用が禁止されている州に囚人製の商品を発送することを連邦犯罪とした。同法はホーズ・クーパー法を更に強化したが、この法律はそのような商取引の禁止を州に依存しているため、保護主義的な企業や労働組合はまだ不満を抱いていた。
そして73年1月1日に発効した「大統領令 11755」は、連邦政府による受刑者製品の購入を制限した。これについてアリゾナ州司法次官補アンドリュー・P・トーマスは、「かつては犯罪者と社会との健全な関係を回復するために不可欠とみなされていた刑務所労働が、文字通り連邦犯罪となった」と難じた。
しかし79年に議会は司法制度改善法(パーシー修正法)を可決し、刑務所労働に関する制限の一部を緩和した。同法により、PIEプログラム(民間部門/刑務所産業強化認定プログラム)が創設され、刑務所製製品の州間販売および連邦政府への販売に関するアシャースト・サムナーズ法などの制限が免除され、厳しい条件付きだが、民間企業が受刑者を雇用することが可能になった。
レイノルズ氏はパーシー修正法やPIEプログラムの創設により、「多くの州は、ゆっくりとではあるが、民間部門での受刑者の雇用に向けて動いている」としている。
■
レイノルズ論文を読むと、19世紀の後半から、刑務所製の製品との競争に関する苦情、労働囚への虐待疑惑、国民の安全に対する懸念が組み合わさって、州法や連邦法と州法により、刑務所製品の輸送・販売が禁止され、刑務所当局または民間企業が囚人を生産的に雇用することが困難になったものの、民間企業が受刑者を使うことは、多くの国民のコンセンサスを得ている様だ。
そしてパーシー修正法などにより、米国内での規制は緩和に向かいつつある。が、輸入品については、昨年6月の「ウイグル強制労働防止法」施行により強制労働で生産された品物の輸入が禁止された経緯がある。
従い、宮下農水相のいう「相手国側の制度」が何を指すかまでは解明できなかったが、少なくとも日本の受刑者によるホタテ加工が強制労働に当たらないことは証明が可能だ。もしかすると州を跨る輸送が問題なのかも知れぬし、あるいは連邦政府による受刑者製品の購入を制限する「大統領令 11755」に引っ掛かるのかも知れぬ。
が、大対統領令で制限できるなら、制限を緩和することも出来るはずだ。20日の「毎日新聞」は、頓挫した受刑者の活用が萩生田政調会長のアイデアだとわざわざ明らかにした。萩生田氏には、あてにならない岸田総理に代わって、日本の受刑者が殻をむいたホタテの輸入をバイデン大統領に直談判して欲しい。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
【関連記事】
・「お金くばりおじさん」を批判する「何もしないおじさん」
・大人の発達障害検査をしに行った時の話
・反原発国はオーストリアに続け?
・SNSが「凶器」となった歴史:『炎上するバカさせるバカ』
・強迫的に縁起をかついではいませんか?