今日までの研究ですでに、マンモスのDNAは現存するアジアゾウと約99.6%一致しており、遺伝子編集技術を駆使すれば、アジアゾウを代理母としてマンモスを再び誕生させることが理論的に可能だと報告されているのです。

その一方で、課題も山積しています。

これまでの研究で得られたマンモスの遺伝子が正しく発現するかどうかは、実際にアジアゾウの胚にマンモスの遺伝子を挿入して、どのような個体が誕生するのか観察するのが一番です。

しかしアジアゾウの妊娠期間は22カ月と長く、絶滅危惧種にも指定されているため、そう簡単に遺伝子編集の実験には使えません。

そこで登場するのが「マウス」です。

マウスの妊娠期間はわずか20日と短いため、胚から成体までのサイクルが非常に速く、遺伝子編集の結果をいち早く知るには最適となります。

これらを踏まえて、研究チームは今回、マウスに「マンモス特有の長くて厚い体毛」を生やすための遺伝子編集実験を敢行しました。

マウスに「マンモスの毛」を生やすことに成功!

今回の研究では、マンモス特有の体毛を復活させるために、CRISPR/Cas9という遺伝子編集技術を用いました。

チームはまず、マンモスの遺骸から採取した遺伝子を分析し、アジアゾウの遺伝子との違いを調査。

これによって、アジアゾウとは明確に異なる「マンモスの遺伝子」を見つけ出し、そのうちからマンモス特有の長くて厚い体毛に関する7つの遺伝子を特定。

これをマウスの胚に導入して、約20日間の妊娠期間を待ち、どのような個体が生まれるのかを実験しました。

その結果、茶色くて短い体毛を持つ野生マウスと違い、黄金色で長くふさふさした体毛を持つマウスが誕生したのです。

これらのマウスは野生個体の3倍の毛の長さを持っており、さらに耐寒性にも優れていることがわかりました。

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上:普通の野生個体、下:遺伝子編集でマンモスの毛を持ったマウス/ Credit: Michael E. Abrams et al., bioRxiv(2025)