ゼレンスキー氏を批判するつもりはない。多くの国民が戦場で死んでいるのを直接目撃してきたゼレンスキー氏には平時の政治家では理解できない、怒り、悲しみ、涙が蓄積しているだろう。だから、ちょっとした切っ掛けや言葉からそれが暴発することは考えられる。一方、トランプ氏とバンス氏は、米国メディアのカメラを意識し過ぎていたかもしれない。ゼレンスキー氏の置かれている状況に少しでも配慮する余裕があれば、あのような事態は避けられたのではないか。
まとめると、ロンドンでの欧州主要首脳国会議で欧州の政治家がわれ先にゼレンスキー氏を抱擁し、励ます姿はトランプ米政権にいいメッセージを送ることにはならない。米国と欧州諸国の間に北大西洋があり、両者を切り離しているが、ウクライナ問題を解決するためには両者は結束する以外に他の選択肢がないのだ。トランプ米政権もその点を理解していると信じている。
編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2025年3月4日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。