2つ目は、フランスのボルドー地方を原産地とする白ブドウを使った「ソーヴィニヨン・ブラン」です。

実験ではまず、それぞれのラットに、どちらか一方のワインを「報酬あり(S+)」、もう一方を「報酬なし(S−)」として学習させます。

ラットはケースに開けられた小窓に鼻を突っ込むことでワインの香りを嗅ぎ、報酬あり(S+)ワインに対してレバーを押すと食べ物の報酬をゲットできます。

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実験の様子/ Credit: Elisa Frasnelli et al., Animal Cognition(2025)

訓練の結果、驚くべきことに、9匹すべてのラットがリースリングとソーヴィニヨン・ブランを識別することに成功したのです。

訓練されたワインの識別率は94%と非常に高い精度を示していました。

さらにチームはその後、訓練時には使っていない別種の白ワインでも新たに嗅覚テストを実施。

すると訓練時より成績は劣るものの、未経験の新しいワインでも65%の確率で識別できることが示されました。

ラットがソムリエとして活躍する日が来る?

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Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部

この研究結果は、ラットがワインの香りを識別して、品種や銘柄を見分けられる可能性を示すものです。

言語を持たないラットでも、複雑な嗅覚情報を整理し、分類する能力があるという点で、動物の認知研究において重要な発見となります。

またチームは今後の展開として、ラットがワインの「産地」や「醸造スタイル」の違いも識別できるのか、ワインの熟成度(新しいワインか、何十年も熟成されたワインか)を嗅ぎ分けられるのかも実験したいと考えています。

さらに犬や霊長類などの他の哺乳類もソムリエの能力を保つのかを調査していく予定です。

これらの疑問に答えることで、動物の嗅覚認知能力に関する新たな知見が得られることが期待されています。

もしかすると未来のワイン業界では、ラットや他の動物たちがソムリエとして活躍する日が来るかもしれません。