具体的には、「kill(殺す)」「murder(殺害する)」「slay(殺害する)」「assassinate(暗殺する)」といった単語の出現頻度を計算し、その変化を統計的に分析しました。

重要な点は、キャラクターが「殺してやる!」というように、実際に殺人を犯すことについて直接的に話している場合のみをカウントしたことです。

なので、「彼は結局、殺されなかった」とか「奴が殺したんだろうか?」といった否定文や疑問文の中に出てくる言葉は除外しました。

画像
Credit: canva

そして分析の結果、映画のセリフにおける「殺人を示唆する動詞」の使用は過去50年間で1.7倍以上に増加していることが判明したのです。

さらにこの増加傾向は、犯罪やホラー、サスペンス映画に限らず、ヒューマンドラマやコメディ、ファンタジー、ファミリー、ラブストーリーなど、あらゆるジャンルの映画に共通して見られました。

これは予想外の結果であり、「暴力的な言葉は暴力をテーマとする映画でのみ増える」という一般的な考えを覆すものでした。

また、殺人に関するセリフを発するキャラクターも男性・女性を問わず、両方で増加しています。

では、なぜ映画の中で殺人セリフが増えているのでしょうか?

殺人セリフが増えている理由とは?

映画における「殺人に関するセリフ」が増えている理由には、以下の5つの要因が可能性として考えられます。

1. 映画の表現の自由度が高まった

1970年以前の映画では、まだ検閲が厳しく、特に暴力的な表現には制限が設けられていました。しかし、1970年代以降、表現の自由が拡大し、よりリアルで刺激的な描写が可能になりました。

特に、R指定映画の増加により、過激なセリフが許容されるようになり、時代を経るごとに過激なセリフが増えていったと考えられます。

2. 社会の暴力的なニュースが増加し、映画がそれを反映

映画は社会の鏡であり、実際の事件やニュースが作品に影響を与えることはよくあります。