「誰かの見ている夢の中に忍び込んでみたい…」そんなことを考えたことはないでしょうか?
映画インセプションのような、そんなワクワクする技術が、今まさに現実になろうとしています。
最近の研究では、AIが「夢のシミュレーション」を生成し、人間が見たい夢を自在に体験できる技術が急速に進歩しています。
特に脳活動をデコードする技術や、AIが仮想世界を構築する「世界モデル」の発展によって、夢のコントロールが可能になる未来が近づいています。
本記事では、その仕組みと私たちの生活に与える影響について詳しく解説します。
目次
- AIが夢を作り出す仕組み
- 夢をデザインする—AIがもたらす夢の自由化
AIが夢を作り出す仕組み
見たい夢をAIが再現するためには、まず「人間が見ている映像を正確に読み取る技術」が必要です。
この分野で大きな進展を遂げているのが、大阪大学CiNetの西本伸志氏らの研究です。
彼らはfMRI(機能的磁気共鳴画像法)を用いて、人が頭の中で思い描く映像をAIがデータ化し、再構成することに成功しました。
たとえば、被験者が「猫」を想像すると、AIが脳活動データを解析し、ぼんやりとした猫の画像を生成できるのです。
この技術の精度は日々向上しており、研究では72%の確率で画像のカテゴリを正しく分類し、再構成された画像の類似性(SSIM)は0.67に達しました。
さらに、脳の「高次視覚野」の活動を解析すると、「動物」や「風景」などの抽象的なイメージも82%の精度でデコード可能であることが分かっています。
つまり、見ている夢の内容と脳活動の関係が明らかになりつつあり、それを基にAIが夢を再現する技術が発展しているのです。
さらに、2023年にはシンガポール国立大学と香港中文大学の研究チームが、fMRIデータとStable Diffusionモデルを組み合わせ、脳活動から動画を生成する技術を発表しました。