世界の核エネルギー競争
現在、中国、ロシア、アメリカは、次世代核技術の開発競争を加速させている。中国は2029年までにゴビ砂漠で世界初のトリウム溶融塩炉発電所を稼働させる計画を進めており、最初の段階では10メガワットの電力を発電する予定だ。この計画は、中国が「エネルギー自給自足」を実現するための重要なステップとされている。
アメリカもトリウム燃料サイクルの研究を進めてはいるが、過去30年間で原子力発電の拡大はほとんど進んでいない。一方、ロシアは積極的に原子炉を輸出しており、世界の原子力市場で影響力を強めている。
また、米国政府はウクライナとの間で希少鉱物の採掘契約を結ぶ準備を進めている。ウクライナには、リチウム、グラファイト、チタン、ウランなど、アメリカが重要視する50種類の鉱物のうち22種類が埋蔵されているとされる。しかし、中国はこうした鉱物の採掘・精製技術において大きな優位性を持ち、米国や欧州が追いつくのは容易ではない。

(画像=Image by Markus Distelrath from Pixabay,『TOCANA』より 引用)