この場面ではペナルティエリア内にいた浦和の選手たちが、マークすべき相手選手とクロスボールを同一視野に収めるような立ち位置や体の向きを整えられず。また、ペナルティエリア中央へ侵入した湘南ウイングバックの畑にホイブラーテンとボザの両センターバックが反応したため、大外に立っていた福田がフリーになった。

ゴールエリア付近に畑、鈴木章斗、福田の3選手を送り込んだ湘南の攻撃は素晴らしかったが、浦和としては畑にホイブラーテン、鈴木章斗にボザ、福田に関根が付く構図を作りたかったところ。失点シーン以外にも、クロス対応時にホイブラーテンとボザの2センターバック間に湘南の選手が立っているシチュエーションがあったため、浦和は自陣ゴール前の守備原則を見直す必要があるだろう。

後半4分には、小野瀬のコーナーキックに鈴木章斗がヘディングで合わせ、湘南に追加点をもたらす。同17分に松本が送ったマイナス(ゴールから離れていく軌道)のクロスに対応しきれず、サンタナに1点差に詰め寄るゴールを奪われるも、湘南は試合終盤に[5-4-1]の隊形へ移行。C大阪戦と同じく撤退守備で、浦和の猛攻を凌ぎきった。

2023シーズンと昨シーズン序盤に極度の成績不振に陥ったものの、湘南は長きにわたる試行錯誤を経て成長している。昨夏以降の成長度合いは、J1全クラブ中トップと言って差し支えない。この進化がシーズン終盤まで続くことを願うばかりだ。

(※)本記事の試合時間は、1分以内の秒数を切り上げて表記。