この直後にはFW鈴木章斗が中盤へ降り、浦和MF金子拓郎と関根の斜め後ろでパスレシーブ。味方センターバックやウイングバックを孤立させないためのサポートを、小野瀬と平岡の2インサイドハーフや福田と鈴木章斗の2トップができている。これが湘南の開幕3連勝の要因だ。


チアゴ・サンタナ 写真:Getty Images

浦和は守備の統率がとれず

湘南が明確なコンセプトのもとで試合を進めた一方で、浦和は漫然とした守備でホームチームのパス回しを止められず。FWチアゴ・サンタナ、サヴィオ、松本の3人が湘南最終ラインの前に立ち、中盤の底を務める奥野や最終ラインから中盤へ上がるDFキム・ミンテ(センターバック)へのパスコースを塞ぐという意図は窺えたが、湘南最終ラインへのプレスが緩かったためボールを敵陣で奪えない展開が続く。サンタナ、サヴィオ、松本、金子が湘南センターバックに適宜プレスをかけていたが、これに浦和の2ボランチ(グスタフソンとMF安居海渡)が連動せず後方に留まったため、湘南の2インサイドハーフや中盤へ降りた福田と鈴木章斗の両FWがフリーになっていた。

ハイプレスを仕掛けるのであれば、最前線のサンタナや両サイドハーフに連動する形で、ボランチも加わる。これができないのであれば、[4-4-2]の撤退守備に専念する。浦和陣営にはこのどちらかの選択が必要だったが、試合序盤にどっちつかずの守備をしたことで湘南にゲームを掌握された。守備戦術の不徹底が、今回の敗戦に繋がったのは間違いない。


小野瀬康介 写真:Getty Images

浦和のクロス対応を攻略

撤退守備へ移行し始めた浦和に対し、湘南が攻勢を強める。ホームチームは小気味良いパスワークで、浦和のクロス対応を攻略した。

迎えた前半26分、敵陣左サイドへ流れた小野瀬から逆サイドのMF藤井智也(湘南ウイングバック)へのロングパスが繋がり、藤井が自身の後方に立っていた鈴木雄斗へボールを渡す。この直後に繰り出された鈴木雄斗のワンタッチクロスに福田が合わせ、先制ゴールを挙げた。