上の写真を見ても分かるように、AやFのツノは一目でわかったとしても、例えばAやFのツノはCでいうどこなのかがはっきりしないのです。

種ごとに共通する体の構造を見極めることは、その種がどのように進化してきたかを紐解く上でも欠かせません。

そこで研究チームは今回、「異なる種のツノのどの部分が共通しているのか(相同点)」を見つけようと考えました。

ツノゼミの「ツノ」の相同点を見つけよ!

研究チームは、ツノゼミの中でも特に代表的な13種を選び、それぞれのツノの形状を詳細に観察しました。

使用した手法は以下の通りです。

・マイクロCTスキャン:ツノの内部構造を詳細に解析

・走査型電子顕微鏡(SEM):ツノの表面構造を観察

・組織学的解析:ツノの細胞構造を調査

これらの手法を組み合わせることで、単なる外見の比較だけでなく、ツノの内部構造や成長過程を明らかにすることができました。

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Credit: canva

その結果、ツノゼミのツノには以下の4つの共通する構造(相同点)があることが判明しました。

1:側方突起(Humeral angle):ツノの両側にある突起

2:中央管(Median carina):ツノの中央を走る隆起部分

3:中央管の前方開始点(Anterior point):中央管が始まる位置

4:中央管の後方終着点(Posterior apex):中央管が終わる位置

これらの相同点を基にチームは、ツノゼミのツノの進化パターンを整理し、各ツノがどのように変化したのかを説明するためのモデルを構築することができました。

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色ごとに共通しているツノの構造を示す/ Credit: 静岡大学 – ツノゼミの多様な「ツノ」における種間相同点の整理(2025)

これまでツノゼミのツノはあまりにも多様で、分類や進化の研究が難航していました。

しかし今回の研究により、ツノゼミのツノに共通する構造が明確になり、彼らの進化プロセスを理解する上で大きな前進となりました。