ロシアによる「ウクライナ侵略」

「旧ソ連圏」の領土や覇権の復活を狙う2022年2月のプーチン・ロシアによる「ウクライナ侵略」はすでに3年目に入り長期化しつつある。当初はNATOなど欧米諸国の積極的な武器弾薬支援等によりウクライナ側の善戦が見られたが、昨年のウクライナの「反転攻勢」が失敗に終わったころから、欧米の支援疲れもあり、むしろロシア側が優勢になりつつある戦況と言えよう。

ロシアによる侵略を受けたウクライナ側の人的物的被害は甚大であり、すでに東部南部などウクライナ領土のほぼ20パーセントを失っている。今後も長期戦闘が続くとすれば、ウクライナは首都キエフを含めその全土を占領される危険性すら否定できないであろう。

大統領選を終えて支持者と面談するプーチン大統領 クレムリンHPより

ウクライナ「苦戦」の原因

ウクライナ苦戦の根本的原因は強大な核戦力を含む軍事力・経済力・人口・領土などロシアとの基礎国力に格段の差があるためである。そのうえ、ロシアがNPT(核拡散禁止条約)体制の理念に違反し「核威嚇」を繰り返し、これに欧米諸国が恐怖し、モスクワにも届く長距離射程ミサイルなどの支援を躊躇する限り、今後もロシア側の優勢は動かない。

まさに「専守防衛」の限界であると言えよう。ウクライナ側の「専守防衛」により、ロシア側は「ウクライナ全土占領」という戦争目的を達成するまで、安心してウクライナへの侵略を継続できるのである。日本の国是とされる「専守防衛」の致命的弱点であると言えよう。

ゼレンスキー大統領 ウクライナ大統領府HPより