会長になった2001年以降、フジテレビは急速にそのプレゼンスを低下させる。
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出典:フジ・メディア・ホールディングス統合報告書
フジ・メディア・ホールディングは、様々な事業を展開しているが、「投資ファンドみたい」と言われるほど有望な会社の株式を持っている。そのため経営は盤石なことは確かだ。しかし、フジテレビは、売上高2374億円、営業利益76億円と全体の4割近くを占める中心的存在であるものの、テレビ視聴率も低く、CM収入も半減するなど成果が出ていない。
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出典:フジ・メディア・ホールディングス統合報告書
この11年の業績を見ても、売上・経常利益ともに年々減少しているのだ。テレビがオワコンと言わる声が大きくなるのにも関わらず、イノベーションはおこせず、製作費のコストカットでしか対応できていなかったということだろう。
こうした惨状を見ると、会長就任後は「カリスマ経営者」としての業績は見せてはいない。その理由を考えよう。
【理由1】物凄く恵まれた規制産業ゆえの安住
第一に、フジテレビ含め、規制産業だからだろう。政府によって極めて手厚く保護された免許事業を営む事業者である。(保護された)希少な電波を持っている点、安い電波利用料を使用できる点など「特権的な立場」を持つ。
テレビという影響力と「空間」を持つ圧倒的なビジネスモデル、新規参入はない、好条件すぎるほどのビジネス環境である。
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出典:フジ・メディア・ホールディングス有価証券報告書
子会社89社、関連企業50社もあるが、その内容を見ても、多角的にビジネスをしている。
【理由2】過去の成功が圧倒的すぎる
そして理由の第二が、過去の成功が強烈であったことだ。まさに1980年代以降、「時代を作った」といってもよい。
フジテレビの「カルチャー」路線、例えば、とんねるずの活躍、夕焼けにゃんにゃん、「月9」のトレンディ・ドラマなどの番組が与えた影響は数多い。若者の流行をフジテレビの番組が作った。皆が熱狂し、真似し、時代の「文化」を作ったといっても過言ではない。