相手センターバックからサイドバックへボールが渡った際に、相手のボランチを誰が捕まえるのか。これが曖昧になるケースが昨シーズンの湘南から散見されており、今季序盤にもこの課題が浮き彫りになっている。この問題が致命傷とならないうちに、早急に改善したいところだ。


前半11分の湘南の守備

湘南の守備が良くなったきっかけは

C大阪の右サイドバック奥田がタッチライン際から内側へポジションを移すことで、湘南のウイングバック畑がここへ寄せられない展開が生まれていたものの、前半10分すぎより奥田がタッチライン際でビルドアップ(最終ラインからのパス回し)に関わるように。これが湘南にとって好都合となり、守備の段取りが整理されるきっかけとなった。

前半11分には、福田と鈴木章斗がC大阪の2ボランチ(香川とMF田中駿汰)へのパスコースを塞ぐと同時に、平岡が相手センターバック進藤に寄せる。これにより進藤からサイドバック奥田への横パスを誘発すると、畑がすかさず奥田にプレスをかけている。福田と鈴木章斗、そして平岡の守備の役割が明確になってからは、湘南の最前線からの守備(ハイプレス)が機能し始めた。

前半28分の湘南の守備

ただ、C大阪のゴールキックで再開された前半28分にも、自陣後方タッチライン際でボールを受けた奥田に平岡と畑の2人が寄せてしまったため、進藤がフリーに。その後田中駿汰のバックパスを受けた進藤、GKキム・ジンヒョン、DF舩木翔、北野の順でボールが渡り、湘南はC大阪の速攻を浴びている。ここでは平岡が進藤を捕捉し、GKへのバックパスや逆サイドへのパスを許さない構図を作りたかった。

C大阪の悪い攻撃配置に乗じて守備を立て直せたのは良かったが、個々の役割が不明瞭なシーンがあったことも確か。これこそ湘南が今季を上位で終えるために突き詰めるべき課題であり、伸び代だ。

小野瀬康介 写真:Getty Images

C大阪の弱点を突く