では、職場の心理的安全性を高める最適な方法とは何でしょうか?
今回の研究が示したのは、「リーダーの謙虚さ」がその鍵である可能性が高いということです。
リーダーが謙虚だと、職員の「やる気」が向上
東京大学の研究チームは今回、中央省庁の職員1088名を対象にオンライン調査を実施しました。
調査では、
・リーダーの謙虚さ(部下の意見を尊重する、間違いを認めるなど)
・職場の心理的安全性(自由に発言できるか、ミスを恐れずに行動できるか)
・メンタルヘルス(ストレスや抑うつの程度)
・エンゲージメント(仕事への意欲や満足度)
といった項目を測定しました。
その結果、リーダーの謙虚さが高いほど、職員の心理的安全性が向上し、それがメンタルヘルスの改善やエンゲージメントの向上につながることが明らかになりました。
これは「謙虚なリーダーがいる職場では、部下が安心して意見を言えるため、ストレスが減り、仕事への満足度が高まる」ということを示しています。
さらに興味深い点として、リーダーの謙虚さが直接メンタルヘルスやエンゲージメント(働きがい)を向上させるのではなく、「心理的安全性」を介して影響を与えることがわかりました。
つまり、単にリーダーが「謙虚」なだけでは不十分で、それがまずは「部下が安心して発言できる環境づくり」につながることが重要なのです。

今回の研究は、日本の中央省庁を対象としたものでしたが、民間企業にも十分応用できる結果です。
多くの企業では「カリスマ的なリーダー」や「強いリーダーシップ」が求められることが多いですが、それが必ずしも良い職場環境を生むとは限りません。
むしろ、部下の意見を尊重し、失敗を許容する「謙虚なリーダー」がいる職場の方が、社員のメンタルヘルスが良好で、働きがいも高くなる可能性があります。
この研究結果は、リーダーのあり方を見直し、心理的安全性を高めるためのヒントを提供しています。