捨てたのは数学だけだったのに、脳力も失っていたようです。
オックスフォード大学の実験心理学部門の研究者たちによる研究によれば、16歳で数学を「捨てる」選択をした学生は、重要な脳内物質GABA(γアミノ酪酸)の濃度が減少していたとのこと。
GABAはタンパク質を構成しないアミノ酸の一種であり、高等動物においては神経伝達物質として機能し、脳機能の改善や最適化に重要な役割を果たします。
研究内容は2021年6月7日に『PNAS』に掲載されています。
目次
- 高校で数学を「捨てる」と重要な脳内物質量が減少すると判明!
- 数学以外ではGABA濃度に変化がなかった
高校で数学を「捨てる」と重要な脳内物質量が減少すると判明!

英国では、学生は16歳になると数学を学ばないという選択が可能になります。
英国では大学入学にあたって必要な科目を3つに絞ることが可能であり、文系を目指す場合、ある時点で数学を完全に「捨てる」ことができるんです。
一方、近年の実験心理学の進歩により、特定の学習行動が脳機能に様々な影響を与えることが明らかになってきました。
最も著しい例としては、多国籍語の会話スキルがある人は、認知症にかかりにくいとする研究結果です。
そこで今回、オックスフォード大学の実験心理学部門の研究者たちは、思春期における数学の学習が脳に与える生物学的な変化を調べることにしました。
実験にあたっては14歳から18歳の133人の学生たちの数学学習の有無を調べると同時に、脳の特定領域(中前頭回)における神経伝達物質「GABA(γアミノ酪酸)」の濃度を測定しました。
GABAは高等動物において脳機能の改善や最適化において重要な物質として知られており、日本でもサプリメントとして広く販売されています。
研究者たちが数学とGABAの関係を調べたところ、驚きの事実が判明します。