試しにブラウザの表示を縮小したり、拡大してみればその効果はよりはっきりわかるでしょう。

これを見るとわかるように、具体的には、ボールの色は全景で横切るストライプの色に引っ張られているのです。

今回の画像では、それぞれのボールの前を、赤、青、緑のストライプのいずれかが横切っています。これが実際の色相認識を歪めてしまうのです。

この錯覚は背景の色ではなく、全景の横切るストライプの色に依存して発生しています。

そのため、ボールを横切るストライプを試しに削除してみると、この錯視効果は消えてしまいます

ツイッター上でジョン・シーモア氏が人力でボールに重なる色を頑張って消下画像。確かにボールはすべて同じ色なのがわかる。
ツイッター上でジョン・シーモア氏が人力でボールに重なる色を頑張って消下画像。確かにボールはすべて同じ色なのがわかる。 / Credit:Jon Seymour

頑張って全景のストライプを消した人がいますが、たしかにボールは同色でした。

こうした錯視の効果はいろいろと研究されていますが、脳内で起きるメカニズムについては、まだ完全に理解されていません。

不明な点も多い錯視の世界の魅力

すべての色をグレースケール(白から黒の明るさの変化)に変換したバージョンは、よく似た働きの錯覚起こします。

これは「ホワイト錯視」と呼ばれていて、この効果は2010年に単独で科学雑誌「Colour:Design」に掲載された論文があります。

今回の錯覚をグレースケールに置き換えたバージョンの「ホワイト錯視(White’s illusion)」の例
今回の錯覚をグレースケールに置き換えたバージョンの「ホワイト錯視(White’s illusion)」の例 / Credit:Michael White,Colour: Design(2010)

この例のように、灰色の四角形の上に白いストライプを置くと、それは明るい灰色に見えます。

しかし、同じ四角形の上に黒のストライプを乗せると、今度は暗い灰色に見えるのです。

論文の著者でもある心理学者のマイケル・ホワイト(Michael White)氏は、1960年代にこの効果を報告して知られるようになりました。