中国のスパイ技術と米国の技術流出

 この気球が持つ技術の一部は2022年に中国科学院(CAS)の研究者が取得した特許に基づいていることも判明した。この特許には、短波通信モジュール「Iridium 9602」が含まれており、これは米国バージニア州の通信企業が開発したものだ。興味深いのは、この企業の本社がCIAの本部からわずか8kmの距離にあることだ。

 この事実は、米国が自国の技術が軍事転用されるのを防ぐ輸出管理の失敗を示しているのかもしれない。これまでにも、中国やロシア、イランといった国々による軍事目的の技術利用が問題視されてきたが、今回のケースはそれを象徴する出来事といえるだろう。