厚生年金の減額が2026年までなのに対して基礎年金は2057年まで減額が続いて3割以上減るので、調整の終了時期を両方とも2036年とし、厚生年金の支給額を減らして基礎年金を増やす。

厚労省の資料

たぶんこの説明を理解できる人は、ほとんどいないだろう。たかまつさんもわからなかったようでほとんど言及していないが、これは厚生年金保険料や積立金を基礎年金に流用するものだ。これは2階建ての年金制度を実質的に1階建てに改築する大改正である。おかげで厚生年金の積立金125兆円も、2036年までになくなる見通しだ。

現役世代から高齢者への125兆円以上の「上納金」

つまりこのわかりにくい改正案は、現役世代から高齢者への125兆円以上の上納金なのだ。これは本来の制度設計になかったので、今度の法案では「積立金の基礎年金勘定への拠出」を明記する。この見通しは年金財政検証の楽観的な見通しにもとづいているので、予測がはずれて減額幅は大きくなるおそれが強いが、たかまつさんはそんな心配はないという。

年金で今後一番困るのは、厚生年金に入っていなく、低年金で生活をしなくてはいけない人たちになると思います。人生100年時代。長生きしても安心して生きていけるように、厚生年金に入れる人はできるだけ入って、事業者にも協力してもらい、自分の保険料をあげた方がいいと思います。

年金は積立方式ではなくネズミ講

彼女は「たくさん保険料を払ったらたくさん年金がもらえる」という積立金のようなイメージをもっているが、これは錯覚である。日本の公的年金は賦課方式(pay-as-you-go)つまり今年の保険料は今年払う年金で使ってしまうので、保険料は返ってこないのだ。

アゴラより

これは保険ではなくネズミ講で、たかまつさんが親の世代に上納した保険料は、子の世代から上納してもらい、子は孫から…というしくみだ。これは子供がネズミ算式に増えた高度成長期にはうまく行ったが、子ネズミが親ネズミより少なくなると行き詰まってしまう。