カメと聞くと、多くの人はのっそり動く穏やかな姿を思い浮かべるでしょう。
しかし最近の研究で、このイメージを覆す衝撃的な瞬間が記録されました。
アメリカ地質調査所(USGS)の研究チームにより、マガモのヒナを生きたまま捕食するミシシッピアカミミガメを発見したと報告されたのです。
ミシシッピアカミミガメの捕食行動の記録は世界初とされています。
研究の詳細は2025年2月3日付で学術誌『Southeastern Naturalist』に掲載されました。
目次
- カメが鳥を襲うなんてありえるの?
- なぜカメはヒナを狩ったのか?
カメが鳥を襲うなんてありえるの?
ミシシッピアカミミガメ(学名:Trachemys scripta elegans)はアメリカで最も人気のあるペットの一種となっていますが、その結果、世界の侵略的外来種ワースト100にもランクインしています。
ペットとして飼われた個体が野生に放たれることで生息域を広げ、その適応力の高さから勢いよく繁殖しているのです。
これまで、ミシシッピアカミミガメは雑食性であるものの、主に水生植物や昆虫、小魚などを食べていると考えられていました。
大型の捕食者であるワニガメ(学名:Macrochelys temminckii)が小動物を捕食することは知られていますが、ミシシッピアカミミガメが生きた鳥のヒナを狩るという行動はほぼ前例がありません。
唯一、ヨーロッパで外来種として定着したミシシッピアカミミガメの捕食行動が1件報告されています。
ただそれも濁った水の中にカメの姿が消えていく写真が一枚撮れただけであり、攻撃や捕食の瞬間を示す証拠ではありませんでした。
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ところが今回、米ルイジアナ州マンデビルの池で、その決定的な瞬間が撮影されたのです。
2023年4月、Canoe & Trail Adventuresのアレックス・ランドリー氏は、ある母ガモがヒナたちを連れて泳いでいる様子を記録していました。