生物蛍光とは、生物の体が特定の波長の光を吸収し、別の波長の光として再放出する現象です。

発光とは異なり、外部の光源が必要であり、紫外線やブルーライトを受けたときに蛍光を発します。

この現象はクラゲ、カエル、魚類などで知られており、最近では、一部の哺乳類にも生物蛍光が存在することが確認されています。

では、極楽鳥の生物蛍光とはどのようなものなのでしょうか。

極楽鳥の求愛行動には蛍光が関わっている可能性

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極楽鳥は生物蛍光を発していると判明 / Credit:Rene P. Martin(American Museum of Natural History)et al., Royal Society Open Science(2025)

研究チームは、アメリカ自然史博物館に所蔵されている極楽鳥45種の標本を分析しました。

調査方法としては、暗室の中でブルーライトや紫外線を照射し、その反応を特殊なカメラで記録するというものです。

その結果、驚くべきことに45種中37種(約82%)が生物蛍光を発していると判明しました。

特にオスでは、頭・首・腹部・飾り羽・クチバシ・口の中といった部位が光ることがわかりました。

メスも一部の種では腹部の羽が光るものの、オスほど目立つ輝きを持っていませんでした。

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オスでは様々な部位に蛍光が見られる / Credit:Rene P. Martin(American Museum of Natural History)et al., Royal Society Open Science(2025)

また、光る色は緑や黄緑(波長520〜560nm)であり、これは鳥の目にとって最も目立つ色です。

特に興味深いのは、オスの口の中が光る種が多いという点です。

極楽鳥の求愛ダンスでは、オスが口を大きく開ける動作がよく見られますが、もしかするとこの光る口が「視覚的シグナル」として機能し、メスに対するアピールを強化しているのかもしれません。