不平等に分配される犠牲:弱者ほど大きな影響を受ける

 データが示すのは、中絶禁止法による影響が社会的弱者に集中しているという厳しい現実だ。黒人コミュニティでは、他の人種・民族グループと比較して、乳児死亡率が約11%も上昇した。ジョンズ・ホプキンス大学の周産期疫学者、アリソン・ゲミル氏によれば、この不均衡な影響は、禁止法施行前から黒人女性の中絶率が高かったことと関連しているという。

 同様に、先天性異常を持つ子どもたちの死亡率も約11%上昇している。これは生存可能性のない胎児でも妊娠継続を強いられるケースが増加したためだ。南部諸州では特に高い死亡率が観測され、地理的要因で中絶医療へのアクセスがさらに制限されている実態が浮き彫りになった。

「中絶禁止法」が乳児死亡率を上昇か、研究結果が示す警鐘
(画像=イメージ画像 Created with DALL·E,『TOCANA』より 引用)