今回のウクライナ戦争は日露戦争や第二次世界大戦のガチ戦争とは違い、一方的な侵略に対し、非侵略国がまだ負けを認めていないのにアメリカが「お前、もうやめろ」と介入し、ロシアを一方的にディール取引者に仕立て上げたことに特徴があります。トランプ流24時間ディールの原点です。

このサウジ講和会合から漏れ聞こえてくるのは①停戦、②ウクライナの大統領選、③終戦と講和の3ステップを基本としているようです。このウクライナの大統領選の必要性については前回のこのブログで私も強調していたところです。ただ、同国の大統領選が行われれば選挙の公正性が最大の焦点であります。もしも画策を含め、親ロシア派の大統領が選ばれればこの3年間のウクライナの戦いは何だったのか、という強烈な失望感が生まれるでしょう。同時にウクライナ人の国外脱出に拍車がかかり国家を支える人口不足に陥るリスクはあるでしょう。

さて、講和をめぐっては中国が「なぜ俺は入らない?」と躍起になっているようです。確かに一時期はそのような可能性も示唆されていただけに中国としては失望感が強いのだと思います。トランプ氏が多国間ディールを好まず、一対一の話で片づける傾向により拍車がかかっていることが大きいのでしょう。

ではその講和会議。新任のルビオ氏と百戦錬磨のラブロフ氏では交渉力が違うと思います。特に以前指摘したようにロシアとしては不毛な戦いは止めたいと思っていますが、ロシアにとって損がない結果に終わらせることが最低条件であり、それができないなら別に講和を急ぐことはないと考えています。

一方、アメリカはトランプ2.0の成果を見せたいし、ルビオ氏も将来の大統領候補になりたいはずですから凱旋したいところでしょう。となればアメリカは足元を見られやすいともいえ、外観から見たディールはアメリカ不利が自明だと思います。ただ、アメリカは戦争当事国ではなく、失うものものないのでそもそも有利不利という議論が成り立たないという意見も出てきそうです。