バックヤード・ウルトラは1時間以内に6706 メートルを走り、これを継続させる過酷な競技です。
各ラップを終了した後は、余った時間を次のレースのリカバリーに使うことができますが、時間内に走り切れなくなった時点でリタイア。
これを最後の1人になるまで続けます。
そこでルイスは4.5日間(延べ108時間)にわたって走り続け、合計724キロを完走したのです。
レース中は基本的に寝る時間もなく、食事も走る合間に摂ることになります。
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こうした偉業は、強靭な肉体と精神力がなければ成し遂げられません。
これらの記録を考えると、人間は理論上、数日間にわたってまともな休憩を取ることなく走り続けることが可能だと言えるでしょう。
人間は「長距離ランナー」として進化してきた
そもそも人間は短距離よりも、長距離を走るように進化してきた動物だといわれています。
たとえば、他の動物と比べても、発汗による体温調節機能が非常に優れています。
犬や馬のような動物は速く走れるものの、体温を下げるために頻繁に休まなければなりません。
しかし、人間は汗をかくことで効率よく体温を下げ、長時間走ることが可能です。
また、大きな臀部(お尻)の筋肉やエネルギーを蓄える腱や筋肉も、持久力の向上に貢献しています。
さらに、ハーバード大学の進化生物学者であるダニエル・リーバーマン氏によると、「私たちの祖先は、獲物を追い続けて疲れさせ、狩猟を成功させていた可能性がある」という。
これは「持久狩猟」と呼ばれる理論で、動物が体温上昇で動けなくなるまで走って追い詰めるという狩猟スタイルです。
つまり、現代のウルトラランナーたちが驚異的な距離を走れるのは、私たちの体が長距離走に適した進化を遂げてきたからでもあるのです。
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結論として、人間は数日間にわたって、まともな休息を取ることなく走り続けることが可能であり、実際に700キロ以上を走ったランナーも存在します。