サンチェス政権は、すでに統治能力を失っている。議会では、新たな法案を可決させるのが困難になり、審議未了の法案が山積している。現時点で、政府が提出した法案の7割が議会にかけられないままとなっている。議会で承認される見込みがないためだ。さらに、今年度の国家予算すら承認されておらず、政府は予算なしでの運営を余儀なくされている。こんな状況でまともな政権運営ができるはずがない。

しかし、サンチェス首相にとって、こうした問題は二の次である。彼の唯一の目的は、スペインの民主政治を犠牲にしてでも、首相の座に居続けることなのだ。

野党の弱腰と不信任案の行方

このように政権が機能不全に陥っているにもかかわらず、野党第1党である国民党は内閣不信任案を提出しようとしない。政府はバスクとカタルーニャの独立政党と手を組み、かろうじて過半数を維持しているため、不信任案が可決される可能性は低い。そのため、野党は勝算のない戦いを避けているのだ。

しかし、それこそが問題である。野党党首は慎重すぎる官僚型の政治家であり、大胆な行動を取ろうとしない。この消極的な姿勢が、結局のところサンチェス首相の延命を許してしまっている。そして、その犠牲になるのは、スペイン国民なのだ。