私たちの太陽系は、天の川銀河の中を秒速約220kmで移動しています。

しかし、NASAの科学者たちは、これまでに見つかったどの惑星系よりも速く移動する新しい惑星系を発見しました。

その速度はなんと、秒速540kmです。

本研究は、NASAに所属するショーン・K・テリー(Sean K. Terry)氏らによって実施され、2025年2月10日付で『The Astronomical Journal』に掲載されました。

目次

  • 2011年に見つかった「謎のペア天体」の正体は!?
  • 秒速540kmの「宇宙最速の惑星系」が発見される

2011年に見つかった「謎のペア天体」の正体は!?

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太陽系は静止していない。銀河系の中を高速で移動している / Credit:Canva

私たちの地球は、太陽の周りを回っています。

しかし、その太陽系自体も、天の川銀河の中を秒速約220kmで移動しています。

このように、惑星系は単独で静止しているわけではなく、銀河の中を旅しているのです。

では、私たちの太陽系よりもはるかに速く移動する惑星系は存在するのでしょうか?

2011年に発見された「ペアの天体」がそうかもしれません。

この天体は、重力マイクロレンズ法という特殊な観測技術によって検出されました。

私たちの宇宙では、巨大な天体の重力が周囲の光を曲げることがあります。

これを重力レンズ効果といいます。

例えば、遠くの銀河の手前にある巨大な銀河団がレンズのように働き、背後にある銀河の光を曲げ、拡大することがあります。

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重力レンズ効果の概念図 / Credit:Wikipedia Commons

この原理を利用すると、通常では観測できない遠くの銀河を詳しく見ることができます。

そして、重力レンズ効果は必ずしも巨大な銀河や銀河団だけのものではありません。

より小さな天体も、別の天体の手前を通過することで、レンズのような役割をすることがあります。