そして、今回調査された化石がこちらです。

左がべレムナイトで、右がProeryon属の残骸です。

今回調査された化石
今回調査された化石 / Credit: Klug et al., Swiss J Palaeontol (2021)

さらに、べレムナイトの方を調べると、何らかの捕食者に体の軟組織を食いちぎられていることが分かりました。

それが致命傷になり、エビを抱えたまま海底に沈んだようです。

クルーグ氏は「捕食者は時に、自分のエサを食べるのに夢中で、周りの環境に注意を払うのを怠ってしまいます。

今回はその良い例であり、べレムナイトは体の柔らかい部分を食べられていました」と指摘します。

べレムナイトを食べた捕食者の正体は定かでありませんが、最も可能性が高いものとして「ヒボドゥス」が挙げられています。

ヒボドゥスは、約2億5000万年前のペルム紀末に出現し、白亜紀末に絶滅した古代ザメで、体長は約2〜2.5メートルほど。

べレムナイトの殻を詰まらせて死んだヒボドゥスの化石
べレムナイトの殻を詰まらせて死んだヒボドゥスの化石 / Credit: Klug et al., Swiss J Palaeontol (2021)

べレムナイトを捕食していたことで知られ、以前にも腹部にべレムナイトの殻が詰まって死んだヒボドゥスの化石が見つかっています。

今回のケースでは、硬い殻を食べないよう、軟組織だけを狙って食い逃げしたのかもしれません。

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参考文献

Jurassic squid got murdered mid-meal, leaving this epic fossil behind
https://www.livescience.com/jurassic-seafood-fossil.html

元論文

Fossilized leftover falls as sources of palaeoecological data: a ‘pabulite’ comprising a crustacean, a belemnite and a vertebrate from the Early Jurassic Posidonia Shale
https://sjpp.springeropen.com/articles/10.1186/s13358-021-00225-z