なぜオウムは食べ物をディップするのでしょうか?

研究チームは、この疑問を解き明かすため、実験を行いました。

オウムも「味付け行動」をすると判明

研究者たちはオーストリアの研究施設において、18羽のシロビタイムジオウムを対象に実験を行いました。

オウムにはジャガイモとヌードルを餌として用意し、少し離れた場所に3種類のディップ用液体(ブルーベリー味の大豆ヨーグルト、中立的な大豆ヨーグルト、風味なしの水)を提供しました。

そしてオウムたちがどの液体に餌を浸すのかを観察しています。

その結果、

・9羽のオウムが食べ物をヨーグルトにディップする行動が確認されました。

・特にブルーベリー風味のヨーグルトに浸す回数が、中立的な大豆ヨーグルトの2倍以上でした。

・風味なしの水にはまったく浸しませんでした。

・ヌードルをディップする回数がジャガイモより多く、食べ物の種類によっても選好が異なりました。

さらにオウムがヨーグルトを舐め取るのではなく、ヨーグルトを付けたまま食べることも観察されました。

これにより、オウムが単なる餌の洗浄やふやかしではなく、「食べ物の味を調整する目的」でディップする行動をとっていることが示されたのです。

この発見は、鳥類の認知能力に関する新たな知見を提供するとともに、動物の食文化の進化に関する研究にも大きな示唆を与えます。

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オウムが餌をディップする様子/ Credit: Jeroen Stephan Zewald et al., Current Biology(2025)

今回の研究は「鳥は味を楽しむのか?」という疑問に対する新たな答えを提供しました。

これまで、鳥類は哺乳類よりも味覚が単純であると考えられていましたが、オウムの行動は「味わう」ことに関する新たな可能性を示唆しています。

さらに、この行動がどのように広がるのかも興味深いポイントです。

研究チームは今後、

  • この行動が他の個体にどのように伝わるのか?
  • 野生のオウムでも同様の行動が見られるのか?
  • 他の鳥類にも「味付け」の習性があるのか?