私たちは毎日の食事で、オムライスにケチャップやマヨネーズをかけたり、パンケーキに蜂蜜を垂らしたり、果物でチョコフォンデュをすることがありますよね。
これは味や香りをプラスして、より美味しく食べるための工夫です。
こうした「味付け行動」はヒトと一部の霊長類でしか確認されていませんでした。
ところがオーストリア・ウィーン獣医学大学(VMU)の研究で、オウムが餌をブルーベリー味のヨーグルトに積極的に浸して食べることが明らかになったのです。
これは単なる餌の洗浄やふやかしではなく、風味を加える明確な目的がありました。
ヒトを含む霊長類以外では初のことです。
研究の詳細は2025年2月10日付の科学雑誌『Current Biology』に掲載されています。
目次
- オウムも食べ物の味を調節できる?
- オウムも「味付け行動」をすると判明
オウムも食べ物の味を調節できる?
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私たち人間は、日常的にソースや調味料を使って食事を楽しみます。
しかし、野生動物が意図的に味を調整するという話はあまり聞きません。
これまでの研究では、日本の霊長類であるニホンザルが海辺でサツマイモを塩水に浸して食べる行動が報告されていました(Kawai, 1965)。
一方で、鳥類でこのような「食品の風味付け」行動が確認されたことはありませんでした。
鳥が食べ物を液体に浸す行動自体は、カラスやオウムなどの一部の種で観察されています。
例えば、以前の研究では、今回と同じシロビタイムジオウム(学名:Cacatua goffiniana)が乾燥したパン(ラスク)を水に浸して柔らかくする行動が報告されています(Zewald & Auersperg, 2023)。
ただ、これは「食べやすくする」ための行動であり、味を変える目的ではありませんでした。
そのため、今回の発見は、鳥類における食文化の進化を考える上で非常に興味深いものです。