2025年2月12日 キックル党首とストッカー党首代行はそれぞれファン・デア・ベレン大統領と個別で会談後、自由党と国民党は連立交渉が暗礁に乗り上げたことを発表した。両党の交渉期間は34日間だった。

【1回目の連立交渉暗礁の背景】 リベラルの「ネオス」は社民党のバブラー党首のマルクス主義的な経済・社会政策に匙を投げた感じだ。ベアテ・マインル=ライジンガー党首は3日、「わが党は経済的に危機にある国の再生、改革に責任を感じているが、他の政党との間に政策的な相違が大きすぎた」と説明した。

【2回目の連立交渉暗礁の背景】 ネハンマー党首はバブラー党首の大企業税や金持ちへの課税といった案を拒否、譲歩が見られない社民党との交渉を停止した。国民党内には社民党と連立を組まず、移民・難民問題で政策的に近い自由党と交渉すべきだという声が急速に高まってきた。

【3回目の連立交渉暗礁の背景】 第一に閣僚分配問題だ。自由党と国民党は内相と財務省を共に要求。国民党は財務相を断念し、内相だけで絞ったが、キックル党首は内相のポストを譲らなかった。交渉ではキックル党首の強硬姿勢が目立った。一方、国民党内でも妥協と譲歩を拒む自由党の交渉姿勢に強い反発が生まれてきていた。

ファン・デア・ベレン大統領は12日、3回の連立交渉の決裂について、「心配する必要はない。わが国には政府があるし、新しい政府も発足するだろう」と語った後、今後の展望として、①繰り上げ総選挙、②少数派政権、③専門家政権、④現議会での政党間で連立交渉を再開する、等の4つのシナリオを挙げている。

現地のメディアは、「国民党と社民党、そしてネオス3党の連立交渉が再度行われるのではないか」と憶測している。繰り上げ総選挙の実施については自由党以外、他の政党は消極的だ。自由党が得票率を増やしたとして同党と連立を組む政党はない限り、状況は変わらない。時間と資金の無駄使いとなる。アルプスの小国オーストリアで新しい政権が発足するまで忍耐がまだ必要だろう。