共産主義及び共産党の著しい退潮
共産主義イデオロギーである「マルクス・レーニン主義」(暴力革命とプロレタリアート独裁の理論と実践)の影響力は、1991年のソ連崩壊以後、世界的に著しく退潮した。共産主義を党是とする日本共産党も例外ではない。
日本共産党はその党勢が年々衰退し、現在では党員数は1990年代の50万人台から20万人台と半減した。機関紙「赤旗」発行部数も1980年代の350万部から現在は3分の1以下に激減した。そのうえ、党員の高齢化が進み、「世代的継承」にも大きな課題を抱えている。
こうした党勢の衰退により、共産党は2016年の参院選比例得票数601万票、得票率10.7%から、2022年の参院選比例得票数361万票、得票率6.8%へと激減し、2024年の衆院選比例得票数も336万票、得票率6.1%に後退し、全当選者もわずか8名に過ぎない。深刻な事態と言えよう。
このような共産主義及び共産党の退潮は、1991年のソ連崩壊後、日本共産党のみではなく世界的現象である。
すなわち、西欧先進資本主義諸国の共産党は、イタリア共産党、フランス共産党など例外なく退潮し、国政選挙において、議席を獲得することも容易ではなくなった。そのため、イタリア共産党は、ソ連崩壊後、いち早く共産主義イデオロギー(マルクス・レーニン主義)を放棄し、社会民主主義政党の「左翼民主党」になり、1996年中道左派連合「オリーブの木」と連携して政権を獲得した。
共産主義及び共産党退潮は構造的問題
このような共産主義及び共産党退潮の第一の原因は政治的原因である。崩壊した旧ソ連や中国型の「共産党一党独裁」(プロレタリアート独裁)による市民的自由や基本的人権の抑圧を、欧米や日本などの発達した先進資本主義諸国の労働者階級を含む国民は到底容認しないからである。
日本共産党の党員ですら、旧ソ連や中国型の人権抑圧の「共産主義」は容認しない。なぜなら、日本共産党の党員も発達した日本の自由民主主義社会における市民的自由や基本的人権を享受しているからである。