特に2014年から2019年まで政権を担ったバレラ大統領は、2017年に台湾と断交し、中国と国交を樹立した。この背景には、中国がバレラ氏に1億4300万ドルの賄賂を渡していたことが発覚している。この時点で両国間では多くの合意が結ばれた。

ちなみに、輸送量で3番目に多いのは日本だが、特に目立った動きは見せていない。

さらに、米国が中国を警戒している理由の一つとして、パナマ運河の2つの入口にある港を香港の企業「CK Hutchison」が管理しており、通過する船舶をコントロールしている点が挙げられる。米国は、この企業が通過する船の情報を中国政府に提供している可能性があると見ている。

トランプ大統領のパナマへの要求

トランプ大統領がパナマ政府に対して要求しているのは、運河の建設における米国の貢献を考慮し、米国船の通行料を無料にすることである。

しかし、パナマのモリノ現大統領は、米国の貢献を尊重しつつも、通行料を無料にすることは受け入れられないとしている。これに対し、最近パナマを訪問したルビオ国務長官は「パナマには常駐軍がないため、治安維持に貢献している米国の軍艦に通行料を課すことは認められない」と表明した。

米国政府の圧力に対し、モリノ大統領は「パナマは中国の『一帯一路』構想への合意を更新しない」と表明した。また、パナマ政府は米国からの不法移民の返還にも合意している。

モリノ大統領は米国寄りの立場を取っており、今後も米国はパナマに圧力をかけて中国の影響力を減少させる方針であることは確実である。