2013シーズン、当時J2だった札幌のホーム最終戦後には「空港まではJR」「乾杯はCLASSIC」「日本の翼、札幌の翼JAL」「遠征はJALで行こう」などスポンサー企業名を取り入れた横断幕が掲示された。サポーターが掲げる横断幕やボードは、成績が悪いチームやフロントに向けてのメッセージが大一番での試合前に掲げられるのが一般的だが、スポンサー企業を意識した掲示は筆者が知る限り札幌のサポーターが「初」ではないだろうか。このような顧客ロイヤリティの高さが、降格してもなお新規スポンサーを獲得できている要因であると考える。
※企業や商品、サービスに対する信頼や愛着。
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ここ一番での団結力
スポンサー企業増加の背景には、さらにもうひとつの大きな要因がある。それは、Jリーグの中でも群を抜く「サポーターの団結力」だ。
2020シーズンのJリーグは、2月下旬に開幕を迎えるも新型コロナウイルスの影響もあり7月上旬までの試合中止が発表された。世界中に影響を与えた未曽有の事態のなか、札幌はパートナー企業を支援するためのクラウドファンディング『#全道一丸で乗り越えよう!コンサドーレパートナー企業応援プロジェクト!』を立ち上げた。300万円の目標金額に対し総額約5,600万円の支援が集まり、支援者数や社会的影響力(話題性)などで総合的に評価される『CAMPFIREクラウドファンディングアワード2020』で総合賞3位に輝いている。スポンサー企業に向けてのクラウドファンディングはこれまで5回実施され、うち4回は目標額以上の資金が集まっており、札幌サポーターが見せるここ一番での団結力は道内外の企業から評価されている。
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札幌サポーターの熱意が動かしたもの
2024シーズンは最終戦を残した第37節(サンフレッチェ広島戦1-5)でJ2降格が決まった札幌。翌週行われた第38節の柏レイソル戦(1-0)は勝っても降格という事実は変えられない試合だったが、本拠地である大和ハウスプレミストドーム(札幌市)には21,721人もの観客が詰めかけた。