ではお前は今回のトランプ/プーチン会談の講和に向けた方向性が正しいかと言われると非常に苦しいのです。つまり現実解ではありますが、ウクライナにとってほぼ得るものが何もない状態で終わるのです。言ってみれば完敗。私はこれが自国で起きたらどうなのだろうと想像するだけで胸が痛くなるのです。勝手に侵入してきて領土をごっそり取られ、残った国土を将来的に守る算段である安全保障が確保されていないのです。これを「当然の結果」とは誰も言えないと思います。

一方で膠着状態が続く戦争をいつまでも続けるわけにもいかない、これはトランプ氏の考え方に賛同をします。どういう形にせよ、止めさせる、これが必要でした。ただトランプ氏は同国の資源を手玉に将来ロシアの一部になるか、アメリカとディールをするかと迫るその姿はかつてイラク戦争で同国の石油資源を求めたブッシュ政権と重なるものを感じるのです。

プーチン氏から見れば「この戦争の引き際」のタイミングを計っていたことはあると思います。兵士や武器の損失は膨大なものであり、意地の張り合いのような状態においてトランプ氏が大統領になれば戦局は変わると分析していたと思われます。つまりずっと待っていた、これが正直なところでしょう。そしてディール好きのトランプ氏と何らかの発表していない取引材料があったと思われます。これは全く発表されていないので想像の域を出ませんが、この両名が純粋なディールをするとは思えないのです。

さて、仮に何らかの形で終戦し、講和が結ばれたとします。その時の世界地図を私は想像してみました。何が起きるでしょうか?いわゆる大国主義の復活ではないかと思うのです。つまりアメリカ、中国、ロシアであります。アメリカは中国と争っているのではないか、という意見もあると思うのですが、トランプ2.0になってそれは明白に変わっているとみています。一定の譲歩を感じるのです。トランプ1.0の時は中国がその敵対相手でした。今回はカナダ、メキシコ、パナマ、グリーンランドをめぐるデンマークが今のところ対象であり、今後、欧州各国もその相手になるのではないかとみています。その背景にトランプ氏はもしかすると中国とロシアの現状のポリシーと主権や姿勢を認める代わりに残りの国々についてアメリカ服従体制を取らせるのではないかという気がするのです。