「トランプ大統領は1期目で、安全保障と通商問題をリンクさせ、日本に圧力をかけた。再び様々な要求をすることが懸念される」

そして記事の末尾には以下の記述があった。

「トランプ大統領は相手の足元を見ながらの交渉スタイルに今後4年間、日本は再び悩まされることになりそうだ」

だが実際の日米首脳会談ではトランプ大統領は石破首相に対し、なんの要求もせず、圧力もかけなかった。その逆に日本との連帯、日本の重視、共同防衛の増強、尖閣諸島の防衛など、協力、友好、団結のみを強調した。そして日本への礼賛を惜しまなかった。

日米安保条約に関しては「日米同盟はインド太平洋の安全保障の礎である」とも宣言した。礎(いしずえ)とは英語ではCornerstoneという言葉である。日米同盟こそがアメリカのアジア全体での礎石、土台なのだという意味だった。そして繰り返すが、トランプ大統領は日本に防衛費の増額を求めるというような言葉は一切、口にしなかった。つまり朝日新聞の予測とはまったく異なる対応だったのだ。

朝日新聞はこの記事でも、また他の最近の記事でもトランプ大統領が1期目に日本に対して多数、多様な要求をぶつけてきたと書き続ける。

しかし実際にはトランプ氏は2016年の選挙キャンペーン中にこそ、日本について日米同盟の片務性への批判などを述べたが、実際に大統領に就任してからの4年間は防衛でも貿易でも公式の場で日本に要求や圧力、抗議、批判と呼べる言辞を発したことはないのである。全面的な信頼を寄せた安倍晋三氏が日本の首相だったことも大きかったが、トランプ大統領はそもそも1期目から日本との絆を最重視していたのだ。その姿勢は2期目も変わらないといえる。

朝日新聞はその1期目のトランプ大統領の対日姿勢に関しても大きな誤報をしていた。2017年2月10日のトランプ・安倍首脳会談ではトランプ大統領が自動車や為替の問題を持ち出して、日本を批判し、譲歩を迫ってくるという報道をさんざんにしていたのだ。だがそんな批判や提起はなかった。まさに歴史は繰り返す、の誤報だった。