世界には数多くの水棲UMA(未確認生物)が存在するとされている。スコットランドのネス湖に棲む「ネッシー」、カナダのオカナガン湖に生息するとされる「オゴポゴ」、日本の池田湖に現れる「イッシー」など、その伝説は各地で語り継がれてきた。そしてアフリカにも、恐竜の生き残りではないかと噂される巨大生物がいる。それが「モケーレ・ムベンベ」だ。
アフリカのコンゴ川流域には、巨大な生物が生息しているという伝承が古くから語り継がれてきた。その生物の名は「モケーレ・ムベンベ」。リンガラ語で「川の流れを止める者」を意味するこの存在は、恐竜のような姿をしているとされ、多くの探検家や研究者の関心を引いてきた。
20世紀に入ると、目撃情報は減少し、モケーレ・ムベンベは神話や未確認生物の愛好家たちの間でのみ語られるようになった。しかし近年、再びその目撃報告が増加しているという。いったい、この謎めいた生物の正体は何なのか。
モケーレ・ムベンベとは何者なのか?
モケーレ・ムベンベの伝説は、アフリカ南部や東部に広がるバントゥー系民族の神話に端を発している。水中に生息する巨大な生物として語られ、1920年代にはドイツの探検家ルートヴィヒ・フォン・シュタイン・ツー・ラウシュニッツ大尉が、その特徴を詳述したことで世界的に知られるようになった。
彼の記録によると、モケーレ・ムベンベはゾウほどの大きさで、滑らかな茶灰色の肌を持ち、長く柔軟な首が特徴的だった。中には、一本の長い牙や角を持つとも伝えられる。また、尾が筋肉質で長いとする説もあれば、そうではないという話もある。さらに、船を転覆させて乗組員を殺害するが、死体を食べることはないという奇妙な特徴も報告されている。
こうした目撃証言は、恐竜のような姿をした未知の生物というイメージを強める要因となった。しかし、実際に恐竜が生き残っている可能性は極めて低い。そもそも、この生物が「恐竜」として語られるようになったのは比較的最近のことであり、ヨーロッパの探検家たちがアフリカ大陸を「未開の地」とみなしていた時代の偏見が影響しているとも考えられる。
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