温暖化対策は間に合うのか?
ここで問題となるのは、これまでの温暖化対策が十分だったのか、そして今後どうすべきかという点である。
1990年に気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が初の報告書を発表して以来、世界の年間二酸化炭素排出量は50%以上増加している。つまり、人類は気候変動を抑えるどころか、むしろ悪化させている。温暖化を止めるには、温室効果ガスの排出を実質ゼロにする必要があり、すでに上昇した気温を元に戻すには、排出量をマイナスにする「ネガティブ・エミッション」を実現する必要がある。しかし、これは極めて困難な課題である。
すでに世界各地で気候変動の影響が顕在化している。オーストラリアでは1910年以降、1.5℃の気温上昇が観測され、グレートバリアリーフは深刻な影響を受けている。海洋温度の上昇や海面上昇により沿岸地域は危機に瀕し、異常気象や熱波、森林火災の頻度も増加している。