普段からクルマに乗り慣れている方であれば、給油時にどの油種を選択するべきかは必ず把握しているはずですが、特に若い世代では、ごくまれに勘違いが起きるもよう。

 「タイ~ヤマルゼン♪」でお馴染みのマルゼンホールディングス代表取締役社長である米岡功二さんが、学生時代に聞いたという、給油にまつわる「本当にあった怖い話」に、驚きの声が寄せられています。

本当にあった怖い話。
学生時代、軽自動車に乗ってる知り合いが「軽」という部分的なワードの印象から、ガソリンスタンドの給油の際に「軽油」を入れてエンジンを壊してしまい「しっかり軽油入れたのに何でだよ。オカシイじゃん」と店員に真顔で逆ギレした話が面白すぎる。冗談のような本当の話。
社会人になって気付いたけど、この勘違いをした人口が意外と多いから驚きだ。

 たしかに、SNS上でもたまにレギュラー仕様のクルマに、軽油を給油してしまい、動かなくなってしまったという話題を見かけます。その理由の一つにまさか「軽自動車」は「軽だから軽油」という誤解も含まれていたとは……。

 それにしても、いったいなぜこのような誤解や間違いが起きてしまうのでしょうか。

■ ガソリンの給油方法は、自動車学校で教わらない

 今件について調査してみたところ、その大きな理由の一つとして、「油種や給油方法の説明が、自動車学校の指導要綱にない」ことがわかりました。

 自動車学校では、あくまでクルマの操作方法や交通法規の習得に重点が置かれています。そのため、ガソリンの油種や給油方法についてはカリキュラムに含まれないのが一般的になっているようです。

 言われてみれば、たしかに筆者も、自動車学校で油種について習った記憶はありません。では一体、どこで誰に習ったのか思い返してみると、たしか免許取りたての時にガソリンスタンドで初めて給油を行った際、スタッフの方にそれぞれの違いを教えてもらったような覚えがあります。

■ セルフ式ガソリンスタンドが増えたことも要因?

 筆者が免許を取得したのは、およそ20年前。その頃は対人のガソリンスタンドが多かったため、事なきを得ましたが、昨今では企業の人手不足や経費削減のため、セルフ式のガソリンスタンドが多くなりました。これも油種を誤って選択してしまう理由の一つとして挙げられるように思います。

 米岡さんの友人も、どうやらセルフ式のスタンドで間違えてしまったようで、給油を終えていざエンジンを掛けようとしたところ、時すでに遅し。アイドリングから不安定で、そのまま故障→修理となってしまったとのことでした。

 加えて、年々高くなる燃料価格。軽油はレギュラーガソリンに比べてはるかに安価であるため、つい選びたくなってしまう気持ちはわからなくもありません。こうした理由をひとつひとつ挙げてみると、給油間違いが起きるのはある意味では必然ともいえるのかも。

 また、米岡さんによると、1つのディーラーで、年に数回は油種間違いによる修理で不動車が運ばれてくるそうで、中には間違って灯油が入れられているケースもあるのだとか。

 ちなみに、2022年10月に全国で行われたJAFの調査によると、誤給油によるトラブルの件数は、1か月間でなんと105件も発生していたとのこと。時代とともに、車に対する興味が年々薄れ、趣味の領域から「単なる移動手段」と捉えられるようになった現れとも言えそうです。