「子供3人なんてとても無理!」 「いや、地方にいけば半分以下の年収でも楽勝」
と。その理由はズバリ、都会と地方の住居費と教育費の考え方の違いである。
地方では家は実家暮らし、もしくは2000万円前後で一戸建てを買ってそこに住む。スイミングや英会話スクールくらいは習い事があるが、中学受験塾に通わせたり、私立小学校やインターナショナルスクールなどはあまり一般的ではない。
高校まで公立学校、大学から奨学金で通わせる。自宅は実家か持ち家。このように住居費と教育費をかけなければ子供を育てるのにそこまで巨額のコストは必要がないのだ。
逆を言えば、教育費と住居費があれば子育てコストは青天井に上がる。そして一般論でいえば年収1200万円は高収入であり、そんな高収入を稼ぎ出す親は子供にも自分が受けてきたような都会での高水準の教育を望む。
そのためには充実した教育環境が整った住居費の高い都会に住み、高額の教育費をかけようという発想になるのが普通である。そうなると正直、東京に住んで教育投資をすると思い切り税金で削られた1200万円では到底足りない、という意見が生まれるわけだ。
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筆者がサラリーマンの頃、早稲田政経卒の海外MBAホルダーがいた。想定年収はまさしく1000万円以上なので、本稿のテーマに合致する。
彼には子供が1人おり、私立中学に合格したという話を聞いたが「これからお金がかかるので、練馬に引っ越しして移動は車の代わりに自転車」という話してくれたことがある。
当時、年収1000万円を天上人のように感じていた筆者は、「1000万円も稼いでいるのに、なんだかけちくさいな」という印象を受けてしまった。だが今ならわかる。彼はたった一人の子供を育てるのに本当に余裕がなかったのである。
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