「収入を増やすために差し出した努力」が見えたなら「ああ、こんなにも頑張っていたんだな。努力に見合った成果と言えるな」とか「あんなに大変なら、自分は年収が低くても責任が大きくない今のポジションがいいや」と一気に嫉妬の熱は覚め、新たに別の感情が生まれる。
また、英語の勉強をしていて「あの人はもうこんなに進んでいるのか。悔しい」と嫉妬の感情が湧いたら、具体的に努力量を見る。
自分は毎日30分勉強しているが、比較対象の相手は毎日3時間、土日は8時間やっていることが分かったとする。そうなれば「悔しい」という感情の代わりに「自分はもう少し努力する余地があるんじゃないか」とか「すごい努力だ、立派だ」と一気に相手はリスペクトの対象に変わる。
こうした事例からも分かる通り、単に「表面的な結果だけ見て嫉妬で終わる」という姿勢は、厳しい言い方をすると「物の見方が浅すぎる」と言える。「自分と同じ条件なのに、より好ましい結果を得ている」と強い認知の歪みが起きており、それが「ズルい」という嫉妬が生まれていたわけだ。
もっと冷静に、より分析的に相手を見ることで「自分と相手のギャップ」を把握し、そこから自分を成長させる要素を引き出す努力に転換するのだ。
そうなれば比較対象は「嫉妬の対象」ではなく「自分を成長させる対象」に変わる。
比較属性を変えてしまう嫉妬を卒業する方法の2つ目は、比較属性を変えるというものがある。
実は嫉妬する相手というのは「自分より優れている相手全員」で起きるわけではない。自分を近い属性で起きやすいという特徴を持つ。
性別、年代、生まれた地域、所属団体、経歴など自分と近ければ近いほど、その相手に嫉妬が起きやすいのだ。つまり、同性で同年代、同じ日本人の同じ地域の出身者、同じ会社、同じ部署の相手となれば、ものすごく嫉妬が生まれやすいということになる。
結論、比較する相手の属性を変えてしまえばいいのだ。たとえば同業他社の同じ年代の社員を見ると嫉妬する人も、イーロン・マスク氏や孫正義氏といった大物経営者にはまったく嫉妬は起きないはずだ。その理由は業界や年代の違いもあるだろうが、まず圧倒的にすさまじい実力者であることから比較できるレベルではないからだ。だが、こうした相手からも多くの学びを引き出せるはずだ。これを利用する。