予算審議と並行して、予算関連のものから法案審議も始まります。

59本の政府提出法案、13本の条約全てで、いずれかの野党の賛成を得なければならないのですから、各委員会の理事は大変です。

参議院選挙がある今年は通常国会の延長は困難です。全ての法案と条約を今国会で成立させるのは至難の業だと思いますが、何としても成立させなければならないのが能動的サイバー防衛法案です。

サイバー攻撃は国民の身近な問題

2022年の大阪急性期・総合医療センターの業務停止、2023年の名古屋港業務停止など、サイバー攻撃は国民の生活を直撃します。

わが国は、JAXAのサーバーへの侵入を許すなど、国益を毀損するサイバー攻撃にも直面しています。

サイバー空間の安全かつ安定した利用、特に国や重要インフラ等の安全等を確保するために、サイバー安全保障分野での対応能力を欧米主要国と同等以上に向上させる

国家安全保障戦略

サイバー攻撃はこの10年弱で10倍ほどに増加しています。極めて緊急性の高い問題であることは明白です。

国家安全保障戦略に「欧米主要国同等以上に向上」と書かれているのは、現状においてはわが国が大きく後れを取っていることを示しています。

能動的サイバー防衛法案のポイントは4つ

① 官民連携の強化 基幹インフラ事業者やベンダーと協議会を設置 インシデント情報や予兆情報の報告を受ける

② 通信情報の利用 国外の攻撃インフラの実態把握のために通信情報を取得

③ アクセス・無害化 サイバー攻撃を認めた場合、アクティブサイバーディフェンスを実施 実施主体は警察と自衛隊

④ 組織・体制整備 内閣官房にサイバーセキュリティ戦略本部を設置 内閣サイバー官、内閣府特命担当大臣を設置

憲法問題で言えば、公共の福祉の要請(国民の安全)で通信の秘密の例外を認めるところが論点です。

アクティブサイバーディフェンスは、国民の生命財産を守るために必要不可欠です。